【事案】
地震により,上階の配水管に亀裂が生じ,マンションの一室が水浸しになり,リフォームが必要になった。
【相談】
上階の所有者が個人財産総合保険というものに入っており,保険金により損害を回復できそうです。
しかし,上記保険は,地震によって生じた損害に対しては,保険金を支払わない(「地震免責条項」))こととされているようです。
果たして,保険金を支払ってもらえるのでしょうか。
【裁判例】
かかる場合について,東京地裁平成23年10月20日判決は,地震とは,「通常備えるべき危険と認識されている程度の地震」ではなく,「巨大かつ異常な地震」をいうとして,東北地方太平洋沖地震の際の本件マンション(東京都杉並区)付近における最大でも震度5強程度の地震のゆれは,地震免責条項にいう「地震」にはあたらないと解するのが相当とし,保険金の支払を認めました。
しかしながら,その控訴審である東京高裁平成24年3月19日判決は,「地震」の語をその強度,規模等によって限定的に解釈することはできず,地震と相当因果関係のある損害であれば地震免責条項の対象になると解するのが相当であるとし,地震免責条項を適用して保険金の支払を認めませんでした。
【上記裁判例に沿った回答】
上記裁判例からすると,損害が地震によって生じたといえる限り,地震の程度を問わず,地震免責条項が適用されることになりますので,保険金の支払は受けられないことになります。