151会メールマガジン 第13号

2016年3月23日(水) 投稿:石田 正己

151会メールマガジン 第13号

ーーーーーーーー今月号の記事・目次ーーーーーーーーーー
1.ご紹介
2.商標権の保護の必要性
3.151会の今後の予定等
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ーーー1.ご紹介ーーーーーーーーーーー

151会のメールマガジン第13号となる今回は、同会メンバー弁理士の石田正己(いしだまさき)が担当させていただきます。

弁理士とは、簡単に言いますと、特許権、意匠権、商標権といったいわゆる知的財産権と呼ばれるものの保護をお手伝いする仕事です。具体的には、各種知的財産権の登録に向けての特許庁への出願や、それに関わる行政訴訟を代理したりします。また、時には、知的財産権の侵害訴訟(民事)を代理、補佐することもあります。

このような弁理士が営む事務所は「○○○特許事務所」などの看板を掲げています。「特許事務所」としてあっても特許権以外の知的財産権も広く扱っている事務所がほとんどです(もっとも得手、不得手はあるかもしれませんが。)。
また、知的財産権の登録は国ごとに行う必要がありますので、外国で権利を取得する場合の仲介の仕事もします。そのために「国際特許事務所」という名称としている事務所も多くあります。
あまり馴染のない職種かもしれませんが、決して敷居の高いところではありませんので、知的財産権についてお知りになりたいことなどがありましたら、お気軽にご相談下さい。

—2.商標権の保護の必要性 —————–

さて、今回は、上記の知的財産権のうち、皆様にはもっとも関連が深いであろう商標権について解説したいと思います。

——(1)商標とは————-

今、私のデスクの上には、お茶のペットボトルが置いてあります。そのボトル表面には「伊藤園」とか「おーいお茶」の文字が書いてあり、「伊藤園」の前には社標と思われる図形も見受けられます。これらの文字や図形は全てが商標であり、お茶を購入しようとする需要者は、こういった文字や図形を見てメーカーや商品を区別して購入ターゲットを絞り込みます。

つまり、商標とは、商品やサービスを区別するための識別標識であると言えます。よって、文字や図形には限らず、立体的なもの、音、色彩、ホログラムなど、商品やサービスの区別に寄与することができる所定の標識は商標に該当します。

——(2)商標制度の内容————-

このような文字や図形は商標登録をすれば商標権が発生し、これらの文字や図形の使用は商標権者が独占できる(つまり他人は使用できない。)というシステムが商標制度です。

なぜそのようなシステムが必要なのでしょうか。

商号の略称である「伊藤園」の商標は株式会社伊藤園(これが商号に当たります。)のハウスマークです。また、「おーいお茶」の商標は商品名であり、ペットネームなどと言われることもあります。
同社はおそらくこの商品を開発・製造・広告をするのに多大な費用を投じており、かかる費用を回収し、利益をあげていくために常に品質の維持・向上に努めていることでしょう。こうして一つのブランドが確立されていくわけですが、もし、ハウスマークやペットネームを誰でも自由に使用できてしまうとすると、需要者は、メーカーや商品を区別できなくなってしまいます。かかる状況下で、第三者が品質の悪い商品を製造・販売すればそのブランド価値は低下してしまいます。もし、それなりの品質だったならば需要者を取られてしまい、その分、利益も取られてしまいます。

つまり、商標制度がなければ、最初に多大な費用を投じてブランド力をつけた者が損をし、そのブランドにただ乗りした者が得をする構造となってしまうのです。こうなると先陣を切って商品を開発・流通させようとする意欲は必然的に失われ、ひいては我が国の産業の発展が阻害されてしまいます。
かかる事態を防ぐために、登録商標には独占排他権(自分だけが独占的に使用でき、他人の使用を排除できる権利)を与えているのです。

——(3)ブランド保護との関わり————-

ブランド保護の問題は、何も大企業に限った問題ではありません。中小企業や個人商店においても、他社より優れた品質の商品やサービスを提供しようと日夜努力し、営業活動の局面では、看板を掲げ、名刺を配り、ホームページを作ったりして、自社の商品やサービスの優位性を紹介していることでしょう。それこそがまさにブランドの構築作業なのであり、営業活動を行う以上、必ず関わってくるのが商標の問題なのです。

しかしながら、ブランド保護の意識が薄いと思わぬ法的紛争に巻き込まれてしまうことがあります。それは例えば、日本の商標制度が先願主義を採用していることに関係する場合があります。

先願主義とは、先に出願した者に商標権が与えられるという制度です。従って、いくら昔から商標を使用していたとしても、その者が商標登録をしていなければ、後から使用を開始した第三者が先に出願してしまえば、その出願人に商標権が発生してしまうのです。そのため、自分の方が先に使用していたと後になってあがいても、他人が商標権を取得した時点から、原則としてその使用行為は商標権侵害となってしまうのです。
悪質なケースでは、未登録の使用商標を他人が商標出願し、権利となった後に侵害訴訟をちらつかせて高額に買い取らせようとする商標ブローカーさえもいるのです。

つまり、自社のブランド価値の大小に関わらず、商標登録してブランドを保護しておかないと何人たりとも法的紛争に巻き込まれてしまう危険があると言えます。

——(4)商標登録は保険————-

たまに「商標登録をしていないんですけど、この文字は使えますか?」という質問を受けることがあります。もちろん、登録していなくても、商標を使用するのは自由ですから何をお使いいただいても構いません。しかしそれは、他に商標権者が存在していないこと、という大前提があります。

もちろん、登録商標の調査をすれば、現時点での商標権者の有無は判明します。そして商標権者がいないとなれば、未登録であっても商標を使用することは自由なのです。しかし、将来的に誰かが商標登録するかどうかまでは誰も予期することはできません。上述しましたように、先願主義の下では「今使用できること」は、イコールで「未来永劫使用できること」ではないのです。

従って、自分が将来においても安全に商標使用できるようにしておくためには商標登録しておくのがやはり確実と言えるでしょう。そのような意味では、商標登録というのは保険のようなものと言ってもいいかもしれません。

——(5)まとめ————-

皆様におかれましても、生命保険はもちろん、会社運営に当たっては各種保険に加入されていることと思います。会社運営上の危機管理の一つとして、商標登録も一種の保険として検討する余地があるのではないでしょうか。

—3 今後の151会の予定等—————–

・ゴルフコンペ
5月21日に第13回151会ゴルフコンペを開催予定です。
また詳しいご案内を差し上げますが,現段階で参加していただけるという方は,お近くの151会会員,あるいは本MLで参加表明していただけますと 幸甚です。

・メールマガジン
メールマガジンは今後も月一回のペースで定期的に配信する予定です。
また、過去の記事は,151会のwebページ(下記)で読むこともできますので,よろしければ,ご高覧下さい。
メーリングリスト部会を発足し,今後はよりタイムリーにお役に立つことができる情報を提供していく所存です。

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依頼者の方々等との出会いを大切に(一期一会),という思いをこめて「151会」としました。

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