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榊原輝重税理士事務所
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151会 メールマガジン 7月号
「低解約返戻金型逓増定期保険の活用と留意点」
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151会では、皆様に
定期的にメールマガジンを配信し、最新の情報提供をおこないます。
今回とりあげるのは、低解約返戻金型逓増定期保険です。
最近注目されている保険商品ですのでご存知の方も多いかもしれません。
節税スキームと留意点についてお話しします。
1. 低解約返戻金型逓増保険とは
低解約返戻金型逓増定期保険は、契約から一定期間(以下、低解約返戻期間)の解約返戻金が低額に設定されている一方で、
低解約返戻期間が過ぎると解約返戻金が一気に高額になるというものです。
低解約返戻期間を設定することで、通常の法人向けの保険商品より保険料が割安になるというのが売りでもあります。
元々は外資系保険会社のみが取り扱っていた商品ですが、
この特徴を使って節税ができるというので、
昨年より国内の保険会社も取り扱うようになりました。
2. 節税のスキーム
一般にこの保険商品は法人契約として保険料の二分の一を損金にできるタイプで販売されています。
契約の一般類型としては以下の通りです。
〇契約者(保険料負担者)…法人
〇保険受取人…法人
〇被保険者…社長
保険契約
〇保険期間20年
〇毎年の保険料1,000万円
〇低解約返戻金期間の返戻率
1年目0% 返戻金0円
2年目5% 返戻金100万円
3年目10% 返戻金300万円
4年目20% 返戻金800万円
5年目95% 返戻金4,750万円
5年目以降は返戻率が徐々に下がる。
さて。
節税のポイントになるのは、所得税基本通達36-37【保険契約等に関する権利の評価】です。
これによれば保険商品を名義変更した時、その評価は「解約返戻金」の額と解されています。
そこで低解約返戻金期間の最終となる4年目に、法人から社長に譲渡し名義変更をします。
この時法人へ支払う譲渡金額は解約返戻金の額である800万円となります。
翌年、契約5年目に社長は保険料1,000万円を支払い、同保険を解約し、一時金として解約返戻金4,750万円を受け取ります。
このケースで受け取る解約返戻金は社長の一時所得となり、税金計算は以下の通りとなります。
【一時所得の計算】
①解約返戻金4,750万円-(法人への譲渡代金800万円+保険料1,000万円)=2,950万円
②(2,950万円-特別控除50万円)1/2=1,450万円…課税対象金額
通常なら役員報酬として4,750万円を支給するところですので、
この方法を経て所得移転すれば社長の支払う所得税が大きく節税になるのは明白ですね。
3. 相続税対策
相続税対策としてもこの商品を使うことができます。
契約形態を以下のようにします。
〇契約者(保険料負担者)父親
〇保険金受取人…父親(将来の被相続人)
〇被保険者…子ども(将来の相続人)
保険契約は先ほどと同じです。
保険契約
〇保険期間20年
〇毎年の保険料1,000万円
〇低解約返戻金期間の返戻率
1年目0% 返戻金0円
2年目5% 返戻金100万円
3年目10% 返戻金300万円
4年目20% 返戻金800万円
5年目95% 返戻金4,750万円
5年目以降は返戻率が徐々に下がる。
父親は4年目の保険料を支払ったところで亡くなりました。
父親の支払った保険料は4,000万円です。
しかし被保険者は子どもですから、死亡保険金は支払われません。
この場合、相続税の計算上 「生命保険契約に関する権利」として評価されることになります。
その評価額は「相続開始日の解約返戻金の額」となります。
つまり
4,000万円×20%=800万円
もし、父親がこの生命保険に加入していなかったらどうなるでしょう。
現金のままで持っているわけなので相続税の課税対象額は4,000万円です。
しかし、この保険を活用したことで
4,000万円-800万円=3,200万円
も減少したのです。
その後は、相続人となった子どもが生命保険を引き継ぎ、 解約返戻率が高い期間中に解約をするだけです。
この場合、子ども(相続人)が受け取った解約返戻金は、 「一時所得」となり、所得税計算上節税になることが明らかです(上記前例と同じ)。
節税の効果を出せるのは
「父親の相続税の課税対象額を減らすことができた」
「子ども(相続人)が受け取った解約返戻金は所得税が安くなった」
ことで成り立つわけです。
4. 留意点
2,3でみたように大いに節税効果があることが分かりました。
しかし税務当局から否認の恐れがあることには留意ください。
所得税法基本通達の取扱いは、法令を前提として基本的な取扱いを明らかにしたものです。
所得税基本通達36-37【保険契約等に関する権利の評価】においては、今回の低解約返戻金型逓増保険そのものを想定しているわけではありません。
形式上は通達に従っているといえますが、
「名義変更された年までの払込保険料累計額は4,000万円」や
「翌年の解約返戻金が4,750万円」という事実をかんがみると、
その経済的利益が800万円で適正かどうかは疑義が生じます。
課税の原則は【実質課税】なので、経済合理性を満たしているかどうかといえば、そうとは言い切れないため税務当局の主張として否認の可能性はあるといえるでしょう。
【ご案内】
151会では、税理士だけでなく、弁護士、司法書士などワンストップで対応できる体制を整えています。
今回は保険を取り上げましたが、相続対策は総合的に行なうことが肝要です。
「はて?」そう思ったらぜひお気軽にご相談ください。
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