151会メールマガジン 第10号

2015年10月9日(金) 投稿:水越 聡

151会メールマガジン 第10号


—————–今号の記事・目次—————–

1 はじめに

2 弁護士の一週間
~月曜日には裁判所へ行き,火曜日には拘置所へ行き…♪

3 151会今後の予定等

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—1 はじめに—————–

青空を忘れてしまいそうなほど長雨が続いておりますが、お元気でしょうか。

151会メーリングリスト,今回の担当の151会会員,弁護士の 水越 聡(みずこし そう)と申します。

せっかくの機会と思い,筆を進めます。長くなると思いますが,お時間のあるときに読み物として読んでいただければ,と思います。

—2 弁護士の一週間—————–

——(1)弁護士の仕事って?————-

昨今(といっても,もうおよそ10年前),裁判官,検察官,弁護士の法曹になるための資格取得制度に大幅に変更があり,弁護士の数が飛躍的に増え ました。

これにより,弁護士へのアクセスは飛躍的に容易になったといえますが,実際のところ,弁護士の仕事ぶり,1日,一週間をどのように過ごしているの か,ということは,想像できない,というのが実情であろうと思います。

そこで,今回は,難しい法律問題の話をしたい気持ちをぐっと堪え,弁護士の仕事ぶり を,適当な一週間を例にご説明したいと思います。

——(2)弁護士の一週間————-

○月×日(月)

月曜の朝が憂鬱であることは,職業を問いません。意を決して,事務所へ。

・離婚訴訟(名古屋家庭裁判所)
離婚は,法的手続外の協議→調停(裁判所を用いた話合いの手続)→裁判という流れをふみますが,裁判まで至っても半数以上が和解で終わります。

本日も和解の話を協議してきました。
裁判所は和解に乗り気だし,相手方も乗ってきた。和解がよいと思うなあ。
和解が望ましい手段 であることをまとめてみました。
依頼者に伝えて,何とか和解を成立できれば・・・。

・損害賠償事件の電話会議(大阪地方裁判所)
裁判期日は,原則として,裁判所に赴きますが,遠方の裁判所ですと,電話で行うこともできます。

本日は大阪地方裁判所の事件でしたので,電話で行いました。
しかし,電話では,裁判官や相手方の顔色を覗うことができないので,雰囲気が分かりません。
まずは厳しい書面を出しつつ,一本相手方代理人に電話して,和解の芽がないかさぐってみよう。

・債権回収の相談
相談は,以前の依頼者の方や,その他の方の紹介によってお請けすることになるケースが多いです。

本日も紹介者もともに来られ,債権回収策を練りました。
一度検討するとのことでしたが,受任し,訴訟提起し,強制執行までやることになるかもしれません。
今日の方は強制執行まで耐えられるだろうか。少し厳しくアドバイスしすぎたのではないだろうか。で も,相手方は早々に応じてくることはなさそうなので,腹をくくってやるしかない。

○月×日(火)

早朝から電話対応を数件して,火曜日も慌ただしくはじまります。

・労働審判(名古屋地方裁判所)
労働審判は,早期解決を図ることを目的とした,特殊な形の裁判手続です。
会社・雇用主は,いつなんどき,労働審判を申立てられるか分からないですし,労働者に有利な法の建付のもとで,適切な対応を求められます。

私は原則として使用者側(会社・雇用主側)に立ちますので,本件も,会社の代理人として,準備し,結果として和解がまとまりました。
やっぱり和解はよいと思う。
しつこいですが,和解が望ましい手 段であることをまとめてみました。
できれば,完勝したいところだったけれど,裁判官の様子からして,これ以上勝負に行くと負けそう だった。依頼者の方も満足していただけていたかなあ。
人の気持ちの中は分からないので,満足度ってはかりしれないですよね。
そんなあたりをまと めたこともありました。

・交通事故訴訟(名古屋地方裁判所半田支部)
以前は,保険会社の代理人として,交通事故事件に関わっていましたが,現在では被害者の代理人として,交通事故事件に多く携わっています。

交通事故の処理,特に損害論は,「もし事故が起こっていなければ,こうだった」という仮想現実を前提とした処理です。理系出身で数字が好きな私 は,このような推計が好きで,いろいろなシミュレーションを考えてみたりします。

交通事故の損害賠償においては,いわゆる保険会社基準・裁判所基準という二重の基準があったり,細かな争点が多数あったりと,技量により差のつく ところが多いので,注意が必要です。
交通事故についてはこちら

相手方は,あまり落としどころを考えて無さそうだ。もう少し,強い主張を繰り返す必要があるかもし れない。


○月×日(水)

この日は予定がそこまで詰まっていないため,若干気が楽です。

・遺産分割調停(名古屋家庭裁判所)
151会セミナー「相続の落とし穴」でもあった相続の問題です。

離婚と同様に,むしろそれ以上に相続関係の問題は,調停(話合い)で決まることが多いです。
裁判所の判断を求めても,必ずしも上手く利益調整されるわけではないですし,細部について主張し出すと,たとえば,日々の小遣いが不公平だったか ら返せなどと際限がなくなり,解決不能となってしまいます。積み重なった暦年の事柄をどのように紡ぎ合わせていくかがポイントです。

本件は,遺言をしたことにより,法律で定める最低限の相続人が取得する取得分(遺留分)を侵害したとして,相続財産の割り付けにつき,遺言とは異 なった形にしようと争っている件です。
遺言が紛争の引き金になってしまった例ですが,だから遺言をしてはいけないか,といわれるとそうでもないです。
反対に,遺言をすれば大丈夫ともいえないという例とするのが適切かもしれません。
転ばぬ先の杖は大変重要ですが,杖があれば転ばないかといわれればそうではありません。
予防法務はしておいた方がよいですが,必ずしも万全にはできません。

そろそろ譲歩も限界に近付いてきている気がするので,今後は突っぱねていこう。不動産の私的鑑定の 用意をしなければ。

・委員会活動
弁護士は,弁護士会に強制的に所属します。弁護士会は弁護士による自治団体で,この会があることにより,弁護士は,自治団体たる弁護士会以外から の監督を受けず,自由かつ安全に社会的正義・基本的人権の擁護に向けた活動をすることができるといわれます。ここが他の士業とは異なるところかも しれません。

弁護士会では,各種活動をしており,たとえば,堅いところでは,刑務所の処遇改善を働きかけたり,やわらかいところでは,法廷見学を実施したりな どを行っています。

この日は,プロ野球選手OBのセカンドキャリアについて法的側面からサポートする研究会でした。近い将来,こつこつやってきた活動が表にでて陽の 目を見そうです。
最近では,弁護士の数が増えたからなのか,対外的な活動も増えました。私の関わりだけでも,昨年は,メッセ名古屋に出展する,商工会議所でセミ ナーをするなどする事業に関わっています。

委員会活動は本業を圧迫する負担にはなるけれど,知見を広める,深めるという点では役に立つ。で も,どんどんいろいろな役をやらされることになってきているし,バランスが難しい。



というように,毎日が全く異なることを行っており,めまぐるしく,あくせくとしています。
上記の予定の間に電話をしたり,書面を書いたり,現場に行ったり,また他の書いていない(書くこと がはばかられる)予定があったりとします。
「一週間」と書きましたが,振り返って書いていたら,自分の過去の予定をみて少しお腹いっぱいになってきましたので,このあたりで終わらせていた だければと思います。
のど元すぎれば熱さを忘れる,過去を振り返ると結構大変な思いをしていたことを思い出してしまいます。

自分で言い出しておいて恐縮ですが,標題の「弁護士の一週間」は,「弁護士の3日間」に訂正させて 下さい。

そうはいっても,独立して自分の事務所で仕事をする環境ですので,裁量の幅は限りなく広く,自由に時間を使うことができるので,楽しいものです。

おそらく,士業の仕事はどれも,その人次第の職人的要素があり,他の士業も同じように,日々異なるめまぐるしいあくせくとした日々ではないかと思 います。
また,このメーリングリストで他の方の「一週間」が出てくるかもしれません。

——(3)補足————-
弁護士,あるいは士業を身近に感じていただくには…と思いを巡らせたところ,思い出しました。

テレビドラマで現在DVD化されています「リーガル・ハイ」です。

極端ですし非現実的なところもありますが,魂の部分は,現実に則していると思います。
私の事務所にも,ありますので,ご希望の方はご用命下さい。貸し出しいたします。


なぜだか,インターネット上で全話見ることができるところがあるやにも聞いていますが,違法ですので止めて下さい。

3 今後の151会の予定等

・定例会
昨日151会の定例会が開かれ,今後の活動について,喧々諤々の議論がなされました。
士業は,職人的要素があるからか,良くも悪くも頑固です。
151会では,なるべく組織化することなく,フラットな関係で,依頼者・相談者の方にとっての利益を目するということに意味を見出しているため, その運営は困難を極めます。
ただ,そのような関係であるからこそ,単に仕事を融通し合うということではなく,依頼者等のために最善を,という観点から,多士業の知恵を拝借し て,ということが可能になると考えています。
やはり,士業に依頼する場合,信頼できるかどうか,というところが第一だと思います。安かろう悪かろうですぎていく業務ではありません。
まだまだ,未熟ですが,目先ではなく,長い視野に立って揺らぐことのない信頼を得るように,と日々研鑽しています。

・ゴルフコンペ
11月3日(火・祝)に額田カントリーで第13回151会ゴルフコンペを開催予定で す。
また詳しいご案内を差し上げますが,現段階で参加していただけるという方は,お近くの151会会員,あるいは本MLで参加表明していただけますと 幸甚です。

・セミナー
ある会社主催のセミナーを10月に151会で行う予定です。テーマは相続関係となりそうです。これまでにない大規模のセミナーで,ワクワクしてい ます。

・メーリングリスト
6月10日のセミナーに参加していただいた皆様,メーリングリストの登録が遅くなってしまったことをお詫び申し上げます。
過去の記事は,http://151.jpn.org/で読むことができ ますので,よろしければ,ご高覧下さい。


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「151会」とは,多種にわたる専門家の融合・連携により,細やかなワンストップサービスの実現を目的する士業の集まりです。
依頼者の方々等との出会いを大切に(一期一会),という思いをこめて「151会」としました。

http://151.jpn.org/

※内容につきましては,個別に,担当会員,あるいは,お知り合いの151会会員にお問い合わせ下さい。
会員情報は以下のページでご覧下さい。
http://151.jpn.org/?page_id=5
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